・・・フジテレビは「ミステリー」とか「サスペンス」とかの定義をどう捕らえてるのだろうか。
局製作のドラマとしては良く出来ていると思う。主演の吉岡秀隆氏も松平健氏も、役を演じきっていたと思う。
が、どう見ても「ミステリー」でも「サスペンス」でもないでしょ、これ。殺人事件をモチーフにしたらミステリーなのか?裁判に提出された証拠の矛盾点を弁護士が見つけ、それをひっくり返そうとするとサスペンスなのか?違うだろ。。。
「ミステリー」を謳うからには、「サプライズ」がないといかんでしょう。状況の食い違いが多々あり、それを巧くリード(lead・導き)しないと作者の描く結末に結びつかない。それがミステリーじゃないか。「どこにそんな記述があった?」と結末にたどり着けなかった視聴者がもう一度見直したくなる。それがミステリードラマでしょうに。
「サスペンス」を謳うなら、「ハラハラさせる」展開がないといかんでしょう。「危険」と言うスパイスの無いサスペンスなんて、出汁を使わないで作った料理よりも味気が無いでしょ。
で、この「死亡推定時刻」。サプライズも危険も無いんだ・・・。タイトルの死亡推定時刻も、「何らかの要因で実際の死亡時刻と死体発見時の状況とのズレがあった」訳じゃなく、ただ単に「警察が都合よく事件を処理(冤罪を成立させるため)のでっち上げ」ですしね。舞台設定が「悪徳不動産業者の社長の娘が誘拐殺人の被害者」ってだけだし。
ただ単に「二時間ドラマ(実際には二時間半だったが)」として見た場合は、非常に良くできたドラマだと思う。原作を読んだわけじゃないので、原作に忠実(というのは「記載どおりという事ではない。筋立てが原作に沿っているかどうかだ。)は私には解らない。が、「ミステリー」とか「サスペンス」とかを銘打つのなら最低のドラマである。
珍しく「次のシーンが楽しみ」なドラマだったが、局の枕言葉のせいで最低の評価になった。TV局が「無能」呼ばわりされても「グゥの音も出ない」くらいひどいタイトルの付け方のドラマだった。